2つのケアが必要な予防歯科
予防歯科の考え方
歯科における予防とは、虫歯や歯周病にならないように健康なお口の状態を保つことです。過去には虫歯ができたから歯科医院へ行く、歯がグラグラするから歯科医院へ行くことが一般的でしたが、今では欧米を中心に「歯のトラブルの予防措置のために歯科医院へ行く」というような考え方に変化しつつあります。
セルフケアについて
虫歯・歯周病の予防を行うにはセルフケアの質が重要となります。セルフケアとは患者様自身がご自宅で行う歯磨きやフロスのことです。その他、日々の食生活も虫歯・歯周病の発生に大きく関わるため、糖分をこまめに採らないなどの工夫もセルフケアの一つと言えます。
プロフェッショナルケアについて
プロフェッショナルケアは歯科医院で行う清掃のことで、歯石取りやクリーニングのことです。セルフケアでは、100%お口の中をきれいにすることはできません。また、そうして磨き残した汚れは石化して歯石となります。歯石は歯磨きでは落とせないため、歯科医院にて歯石除去を受ける必要があります。それが定期検診、すなわちプロフェッショナルケアが必要な理由です。
診療システム(治療の流れ)
予防に重きを置く当院では、元々健康な歯はもちろん、一度治療した歯のメンテナンスも重要視しています。通院頻度は3~6か月に一度のペースが良いでしょう。お口の健康状態をチェックします。
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検査
はじめに歯の状態を検査します。新しく虫歯ができていないか、歯間にある歯周ポケットが深くなっていないか、歯がぐらついていないかなどを確認します。
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レントゲン撮影
歯と歯の間の虫歯や歯を支えている骨の全容は、肉眼のみでは確認することができません。そこでレントゲン撮影を行い、隠れた虫歯や骨の量・幅を調べます。
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症状に応じた予防・治療
歯石やプラークを除去し、ご自宅で行っていただく歯磨きの適切な方法をアドバイスします。検査で虫歯が見つかった場合は、虫歯の治療も行います。
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定期検診・PMTC
治療後は定期検診にお越しいただき、3~4か月に一度くらいのペースでPMTCを受けることをおすすめしています。
PMTCとは
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)とは、セルフケアでは除去しきれない汚れを専用の機械を使って除去する、専門的なクリーニングです。歯面を磨き、歯間や歯周ポケット内にこびりついている細菌の塊(バイオフィルム)を徹底的に破壊し、歯の隅々までキレイにします。継続してこれを受けることで歯の表面がツルツルになるため、プラークが付きにくくなります。細菌を大幅に減少できることから、虫歯・歯周病・口臭予防効果が期待できます。PMTCは歯科医院でしか受けられないケアですので、きちんと歯科医院に通い続けていただくことが前提となります。
PMTCの流れ
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プラークの染め出し
プラークは細菌の塊です。歯周ポケット内に歯垢が形成されると細菌が毒素を出し、歯肉に炎症が起きます。染め出し液を使って歯垢などの汚れを検出し、除去します。
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クリーニング
専用の機械を使って、歯の表面・歯と歯の間・歯と歯茎の境目などの歯ブラシが届きにくい箇所をしっかりと磨き上げます。
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トリートメント
歯の表面の傷を修復し、つるつるにします。隣接面はフロスを使ってトリートメント液を塗布し、細菌が付着しにくい状態にします。
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フッ化物の塗布
PMTCを行った後は、歯質を強化するためにフッ化物のジェルを塗布します。
※ジェルの塗布後30分間は、飲食やうがいはお控えください。
ステイン除去
予防歯科ではステイン除去も行っています。ステインとはお茶に含まれている茶渋が原因の着色汚れです。これらの成分が唾液中のイオンと結合すると歯に着色してしまうのです。
ステイン予防には日頃からお茶を飲んだ後に歯磨きをすることが効果的です。しかし、一度付着してしまったステインは自宅では除去しにくいものです。治療法としては、歯科医院でPMTCやホワイトニングを受けることが挙げられます。